「高すぎる枕」に注意
寝る時の必需品「枕」。柔らかかったり硬かったり高かったり低かったり、好みは人それぞれですが、枕が高ければ高いだけ「脳卒中」のリスクも高くなるという研究発表がありました。脳卒中の原因の一つの「突発性椎骨動脈解離(とっぱつせいついこつどうみゃくかいり)」は、椎骨動脈(首の後ろの肺動脈血管)が避けて脳卒中を引き起こします。15~45歳の脳卒中患者の1割程度を占めており、研究チームはなぜそれが起きたか原因がわからない患者の中に、高さが17~19cmにもなる高い枕を使っている人がいることに注目しました。専門家の意見を参考に12cm以上の枕を「高い」、15cm以上を「非常に高い」とし、突発性椎骨動脈解離と診断された45~56歳の53人と、同時期に脳梗塞や脳出血で入院した53人の、使っていた枕の高さを調査しました。その結果
- 12cm以上の枕を使っていた人
突発性椎骨動脈解離:18人 それ以外:8人 - 15cm以上の枕を使っていた人
突発性椎骨動脈解離:8人 それ以外:1人
ということで、枕が高いと突発性椎骨動脈解離のリスクが高いということが分かりました。
枕が高いとあごが胸につく方向に曲がっていく度合いが大きくなって、首に負荷がかかります。また、寝返りなどで首が回る時に血管が傷つくこともあり、発症の要因と考えられています。寝ながらスマホやタブレットを見やすくするために、枕を重ねるなどして高くして寝る人も多いため、なにげない睡眠習慣が脳卒中のリスクになり得る現代病かもしれないということです。昔の日本では高くて硬い「殿様枕(とのさままくら)」が使われていたことからこの症状を『殿様枕症候群』と名付け、新しい病気の概念として提唱しています。